【地域課題解決のためのGR】「新型コロナウイルスを官民連携で乗り越える」ために何が必要か《第1回GR勉強会》鎌倉市長・松尾崇、CFJ・関治之、カマコン・宮田正秀》
GR勉強会
◼︎100点満点でなくてもやれるところから取り組む
吉田———ぜひ松尾市長にもおうかがいしたいのですが、こういう危機のとき、新しいものが生まれるみたいなことがおありでしょうか。
松尾———コロナに関して日々、新しい課題が出て、それに対応するうえで平時ならば、予算取りから考えねばならないのですが、有事の危機管理という意味では、スピード感が必要な状況ですから、100点満点でなくてもまずやれるところから取り組み、次々にチャレンジすることがあると思います。
吉田———例えば、鎌倉市ではコロナの前からやっていたこと市役所の窓口の混雑度がわかるような発信とかありました。今回、コロナ対策での密集を避けるときの告知にも役立ちましたし、鎌倉市の方法は満員電車やバスの混雑の告知などいろいろなものに使えるようになりました。
さて、今回、自治体がどんなコロナ対策を行ったのか、GR協会では「まとめサイト(コロナ対策 自治体最前線!!)」を立ち上げて松尾市長を代表とする全国青年市長会から、各地の事例をいただき、かつCFJの関さんにリソースをお借りしてブラッシュアップさせたサイトを立ち上げましたが、これを作る際の苦労話や、GR協会のアドバイザーを務めていただいているテック系で今回貢献していただいたカマコンの宮田正秀さんに苦労話をお聞きしたいと思います。
宮田———私は鎌倉に住んでいましてカマコンという地域活動をしておりまして、カマコンは鎌倉にある課題やチャレンジはなんでも「ぜんぶ、ジブンゴト」という活動をしておりまして、私も本職はITですが、メンバーの仕事や年齢は様々です。声がかかるとなんでもジブンゴトにする感じで、吉田さんとは横須賀市長の頃からお付き合いさせていただいて、今回もお声をかけていただきました。GR協会のコロナ対策のまとめサイトは「さすが! いいアイデアだ」と思いました。もちろんサイトの制作は私だけが苦労したわけでなく、まず情報を集める。そしてどう分類して適切なコメントを与える。この作業がいちばんたいへんだったと思います。あと見やすいデザイン。GR協会の仲間のデザイナーがでつくったシンプルでかつ見やすいデザインが上がってきて、これはいいサイトができる、と確信しました。
で、ぜんぶ「手作業」でやる選択と、「ワードプレス」のようなCMSでやる選択と、プログラマーにつくってもらうという選択と、3つの選択肢があったんです。自分が徹夜してでも、できるのはワードプレスだということで、自力で組んでみました。
情報を集めるボランティアも非常に活躍してくれまして、彼らがグーグルのスプレッドシート(エクセルみたいなもの)に情報を整理して集め。それをいかに早くサイトに反映するかという流れでした。私が本当のエンジニアならもっとすごいことができたと思いますが、あれこれググりながらワードプレス上、多少の手作業をすれば、スプレッドシートにあるものを反映できるものを作りました。
吉田さんから「3日でできますか」みたいに言われ、最初は、「そんなバカな」と思いましたが(笑)、調べてつくると楽しくなりましたし、そういうの昔好きだったなと思いながら熱中していましたので、私自身はそんなに苦労ではなかったですね。
◼︎クラウドサービスとオープンソースの文化風土
吉田———改めて官民連携というときに、テクノロジーの力ってすごいと思いましたが、宮田さんはどういう感慨をもちましたか。
宮田———-二つです。
(1)まず、みんなで情報を集める。クラウドサービスがあるおかげで共同作業でき、即、その場で同時に修正できる。慣れている人にとっては共同作業がオンラインでできるっていうのが一番大きいなと。データとかコンテンツですね。
(2)もう一つは、世の中に先駆者がいて、その知識が惜しげも無く無料で公開されていることです。だいたいググると「こうすればいい」って知恵が WEBに出ているのです。プラグイン、CMSがあって・・・と。おそらくCFJの理念と同じだと思います。オープンソースの文化風土が行き渡っているなと。ググればなんでもできるんです。こうした二つのマインドが行き渡っているなと思いました。逆に言えば、この二つのマインドがなかったらどうなったのだろうかって思います。
吉田———宮田さんの話にも出た「オープンソース」について。関さんにお聞きしたいのは都道府県によっては「温度差」があったのではないでしょうか。さらにそこからオープンソースのあるべき姿についてお聞きしたいのですが。
「コロナ対策 自治体最前線‼️」
https://covid19.graj.org/
【日本販GRとはどんなときに役立つのか】
【(一社)日本GR協会とは】
行政だけでは解決できない構造的な課題が増えている。お金もない、人もいない、新しい課題に対応できるノウハウもない。一方で民間にはサービス・ソリューション・プロダクトがあり、課題解決に資する。それをうまくマッチさせることで良質な戦略的な官民連携を行うことで地域課題解決が前に進む。これがGRであり、GR協会はそれを広めていく組織です。
具体的にはGRを広めて、GRの成功・失敗事例が学べ、課題解決に当たるプレーヤー同士が属する組織を超えて「つながれる」ことがGR協会設立の目的と理由です。(2020年1月設立)
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